✔ 省エネ基準を判断するための、BEIを理解できる
✔ BEIの基準値がわかる
✔ BEIの違いによる電気代の違いがわかる
省エネ基準とは
そもそも「省エネ基準」とは、建築主に対し住宅の省エネルギー性能の水準などを詳細に定めたものです。
「省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)」に対応する形で初めて制定され、以降何度も改正・強化されてきました。
1980年(昭和55年):省エネ基準の制定
1992年(平成04年):「新省エネ基準」へ改正
1999年(平成11年):「次世代省エネ基準」へ改正
2013年(平成25年):「H25省エネ基準」へ改正
2016年(平成28年):「H28省エネ基準」へ改正
住宅の省エネに関する基準は以下7つの代表的なものであり、互いに関連し合っています。
・断熱等性能等級
・一次エネルギー消費量等級
・ZEH
・HEAT20
・BELS
・長期優良住宅
・低炭素住宅
各基準については、別の記事で解説します。
BEIとは
家で利用する直接的なエネルギー消費量が多いか少ないかを示す指標を、BEI(Building Energy-efficiency Index)と言い、BEIの数値が小さいほど省エネ性能が良い(エネルギー消費量が少なく光熱費も安くなる)。
BEIの計算
BEI = 設計1次エネルギー消費量(設計仕様)÷ 基準1次エネルギー消費量(基準仕様)
設計仕様:建てようとしている家で想定される、1年間の消費エネルギー量の合計。
(冷暖房・給湯・照明・換気などの消費エネルギーの合計。冷蔵庫・テレビ・洗濯機などは含まれない。)
基準仕様:諸条件により定められた基準の家で想定される、1年間の消費エネルギー量の合計。
(冷暖房・給湯・照明・換気などの消費エネルギーの合計。冷蔵庫・テレビ・洗濯機などは含まれない。)
省エネ性能が良くなるにつれ計算上、0.9、0.8、0.7…とBEIの値が小さくなります。
これは、一般の家より10%、20%、30%…消費エネルギーを削減できてるという意味です。
BEIを下げるには
BEIを下げる方法としては
①高効率のエアコンや全館空調を導入する。
②外皮性能(断熱性能)を上げる。
③熱交換換気システムを導入する。
等が一般的に挙げられます。
他に、太陽光発電システムを導入すれば、家で使用するエネルギー消費量は少なくなりますので、難なくBEIを下げれることができます。
ですが、太陽光発電システムなしでも目標BEIをクリアできるくらいの性能をおすすめします。
BEIを計算する時に、太陽光発電システムを計算に入れて、メチャクチャ良い数値を出してアピールしてくる建築会社もいるから、気をつけてね!
BEIの基準値・目標値
結論から言うと、BEI=0.8以下を推奨します。
ZEHや長期優良住宅の最低条件が、BEI=0.8以下になります。
今後2025年には、BEI=1.0以下が義務化される予定です。
また2030年には、ZEH基準が義務化される予定なのでBEI=0.8以下が義務化される予定です。
また、BEIで住宅性能を評価する「一次エネルギー消費量等級」が定められています。
簡単に説明すると、家で使用するエアコン・給湯器・照明などの設備が、省エネ基準住宅(等級4)と比較して、どれくらい使用エネルギーを削減できるかをBEI等を基に、等級をつけて評価しています。
詳しくは別の記事を参考にしてみてください。
他にも、BEI等をもとに省エネ性能を第三者機関が評価し認定する「BELS(ベルス)」という制度があります。
BELSでは、☆1~☆5の5段階で評価され、BEIの値が小さいほど☆の数が増え、より省エネであることを認定されます。
★★★★★ | BEI ≦ 0.8 |
★★★★ | 0.8 < BEI ≦ 0.85 |
★★★(誘導基準) | 0.85 < BEI ≦ 0.9 |
★★(省エネ基準) | 0.9 < BEI ≦ 1.0 |
★ | 1.0 < BEI ≦ 1.1 |
BEI=0.8以下にできれば、「一次エネルギー消費量等級」・「BELS」のどちらでも最高等級(ランク)が得られるよ!
何より、光熱費が安くなりランニングコストを下げられ、長期優良住宅の認定条件もクリアできるため、税制面の優遇や住宅ローン控除の優遇などを受けられます。
BEIの違いによる光熱費の違い
下の画像は、BELSに使われる『一次エネルギー消費量』を光熱費に換算したものの一例です。
同じ面積・大きさ・形状の住宅を、左の☆2は省エネ基準(BEI≦1.0)で、右の☆5は設計基準(BEI≦0.8)で比較しています。
引用:「いえすたいる」
※計算条件は様々なので参考程度に見てください。
※BELSと同時に取得出来る『住まいの燃費通信簿(日本ERI株式会社)』を使用しています。
まとめ:施主目線で思うこと
BEIは重要か?
『BEI』はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、省エネ性能を考えるうえでは、非常に重要です。
今後2025年には、BEI=1.0以下が義務化される予定です。
また、2024年4月より『省エネ性能表示制度』が努力義務化されました。
これは簡単に説明すると「住宅を販売する事業者は、家の省エネ性能をわかりやすくラベル表示して、買う人が色々な住宅の省エネ性能を比較して購入できるようにしなさい」というものです。
この時のラベル表示に使われるのが『BELS』による段階評価で、BEIの値で評価されます。
このように様々な場面で、今後必要とされてくると思います。
目標にしてほしいBEI
BEI=0.8以下をクリアできれば、『一次エネルギー消費量等級』・『BELS』のどちらでも最高等級(ランク)が得られます。
何より、光熱費が安くなりランニングコストを下げられ、長期優良住宅の認定条件もクリアできるため、税制面の優遇や住宅ローン控除の優遇などを受けられるメリットがあります。
また、『BEI』や『BELS』の話をしてくれる住宅会社は、性能にこだわってる会社が多いので、住宅会社選びの基準になると思います。
さらには、BEIの計算時に使用する『ηA値』の話ができる住宅会社だったら、私的にかなり信頼度が上がります!笑
私は以前、BEIって何ですか?という工務店に出会いました…
そんな工務店は即、候補から外しましょう!
最後に1点だけ注意してほしいのが、太陽光発電システムなしで目標BEIをクリアしてください。
太陽光発電システムを計算に入れると、省エネ性の低い家でも簡単にBEIを下げることができてしまいます。
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